「被爆ピアノ・ニューヨーク編」

1945年8月6日 広島で被爆したピアノ。

65年を経て2010年9月にニューヨークへ運び、国連平和会議の一環として招かれました。

2008年、神戸の栄光教会にて「平和コンサート」を開催してから2年。着々とニューヨークへ運ぶ準備が進められ、運びやすいようにアップライト型のピアノを、被爆してからもずっと持ち続けておられた方のご厚意でお借りすることが出来ました。

空輸するために必要なノウハウは美術品を運ぶことに長けている日本通運が得意と聞いて依頼。

ワシントン条約の関係で象牙の輸出入は禁止されているため昭和20年当時に用いられていた象牙の鍵盤が持ち出せず、アクリル製の鍵盤に張り替えてもらうために浜松の工場に依頼。

現地の知人を頼ってせっかく国連まで運ぶのだから市内各地でお披露目と交流コンサートが可能にならないかを依頼。

数々の試練をクリアして日本から20数名のサポートメンバーと共にニューヨークへ飛びました。

9月21日は「国際平和デー(International Day of Peace)」、通称ピースデーです。

毎年、ニューヨークの国連本部で記念式典がおこなわれ、国連事務総長が「平和の鐘」と呼ばれる鐘を打ち鳴らします。そして「たった一日でも戦争のない日を」と、世界の紛争地に向けて停戦、非暴力が呼びかけられます。

毎年9月は国連総会が開かれる時期でもあり各国の代表が集まる機会に「平和とは、日々、すべての国でみなが取り組むべきもの」(国連事務総長スピーチより)と、平和への思いを共にする日でもあります。この時期、紛争地に食料や緊急支援を届けようという国際的な動きも活発になります。

そんな中で唯一被爆国として悲惨な体験をした日本からの使者「被爆ピアノ」が奏でる優しいメロディに、人々は手を繋いで一つになり耳を傾けてくれました。写真はその時の国連第2会議室内での様子で、パネラーとして平和大使の五島みどりさんや、キムヨナさんも出席されていました。

国連で演奏した翌日からは、ニューヨーク市内で、145ストリートの教会、日米教会、ジャパンソサエティ主催のホールコンサートなどでも演奏し現地の合唱団と交流演奏をしました。

(音楽教室:明石大久保・神戸三宮・神戸御影・姫路網干・箕面・東京白金)