フランスの作曲家クロード・アシル・ドビュッシー(1862-1918)が1915年に作曲したピアノ二重奏の為の作品「白と黒で」は3つの楽章から出来ています。
この曲を作り始めたときはフランシスコ・デ・ゴヤの版画集『ロス・カプリチョス』に因んで「白と黒でのカプリチョス」という曲名だったらしいですが第2曲の『献呈』は前年に勃発した第一次世界大戦の影響がはっきりと感じられます。
『白と黒で』という題名に関しては鍵盤の白黒、そして絵画(版画)の白黒を指す、という二説があり、編集者のデュランへの手紙に「カプリスの第2曲の色合いがあまりにも黒の方に流されゴヤの『カプリチョス』と同じくらい悲劇的になってしまったので、少し明るく仕上げた」とあります。
また、別の友人にあてた手紙には「色彩や感動を脱色した結果、ベラスケスの灰色になった」と語り、いずれにしても絵画を引き合いに出しています。
ピアノの鍵盤、白と黒がテーマだと思っていましたが、作者の絵画への想いが音になって表れるという神秘的な情景を思い浮かべてぜひ聴いてみてくださいね。
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