(た‐5b) タムタム
「タムタム」って何でしょうか?。田村君のあだ名?。そういえばBSの「こころ旅」で火野正平さんが田村カメラマンに「ねえ、タムタム」って呼びかけていますよね。・・・違います。では、塗り薬の名前?。昔「タムタム・タムタム・メンソレータム」って遊びがありましたよね。・・・これも違います。 実は楽器の名前なのです。「銅鑼(ドラ)」と言ったほうが判りやすいかも知れません。青銅などの金属でできた丸い打楽器で、大きさは片手で持てる直径30㎝位の物から直径150㎝位の物まで様々です。片手で持てる物は、全長100mを超える船舶には「音響信号」としての装備が義務付けられていて、座礁などの万一の場合には打ち鳴らすことになっているそうです。でも普段は「出帆の銅鑼」と言って、客船などが岸壁を離れる時に景気づけで打ち鳴らされることが多いようです。これを「出帆のタムタム」と言ったのでは様になりませんよね。なお、クラシック音楽の演奏会では大きなサイズの物が使われます。吊り下げられた銅鑼を大きなマレットで打ち鳴らすのですが、音が客席に響き渡るのは叩いてから数秒後なので、叩くタイミングを見計らう技術が指揮者や演奏者に求められます。ところで、今では伝説になっている「悲愴の銅鑼」という話があります。チャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」に、この銅鑼がたった一回だけ鳴らされる場所があります。最終楽章の最後に近い場面で、悲しみの慟哭が最大に達したあと死の予感がやって来る時に鳴らされるのです。音量は「P」です。昔、あるプロのオーケストラにエキストラとして雇われた銅鑼の奏者が、さあ鳴らそうとした時に何故かふと魔が差してやり過ごしてしまったそうです。怖いですね。「チャイコフスキーの呪い」とも言われるこの話は、その後いろんなオーケストラに伝わり、今でもこの曲を演奏する時に銅鑼の担当奏者は神経質になるそうです。