(ち‐7) 茶店 と 滝
“滝” といえば、いま私が住む箕面市にも滝があります。全国的にも有名な “箕面の大滝” です。滝の周辺はモミジの名所でもあるので紅葉の季節になると観光客が押し寄せて、交通整理のために周辺の道路が車の一方通行になるほどの人気スポットです。
私は時々、ウォーキングがてら滝まで歩きます。自宅から全行程を歩き通すこともあれば、滝の登り口の最寄駅である「阪急箕面駅」まで電車で行ってから歩くこともあります。駅からなら3㎞弱なので、一時間もかからずに滝に到達できます。
この “滝道” には有名スポットが沢山あります。歩き始めてすぐに名物の “モミジの天ぷら” を実演販売する店が数軒あって “味くらべ” をしながら歩くことができます。そしてここを通り抜けるとすぐ左に “箕面温泉スパーガーデン(現・大江戸温泉物語)” があります。ここでは、むかし滝道から山上の本館まで湯治客を運んでいた “ケーブルカー” の廃線跡を見ることができます。今は無料の展望エレベーターで昇り、箕面の街並みを一望することができます。
更に道を登ると昔ながらの古い料亭があって、夏には “川床” で食事を楽しむことができます。また、この辺りは六月に入ると蛍が群れ飛ぶことでも有名です。そしてしばらく歩くと“昆虫館” があり、夏休みには宿題のために訪れる小学生で一杯になります。
ここを通り抜けるとすぐに、“宝くじ発祥の寺”として有名な “瀧安寺” があります。ここには芸事の神様 “弁財天” の立像もあり、片手に琵琶を持って “今まさにステージで演奏を終えて舞台そでに戻って来ました” という風貌のお姿は 別名 “妙音天” のお名前に相応しい風格があって、思わず「私も演奏が上手になりますように!」と手を合わせたくなります。
更に歩くと、滝道を塞ぐように迫り出した “唐人戻り岩” があります。帰りがけに反対側から見ると、まるで異人さんの横顔に見えることからこの名前が付いたと言われています。そしてなおも登り続けて、茶店で塞がれて狭くなった道を通り抜けると、目の前に雄大な滝が現れるのです。そのごうごうと落ちる水飛沫のおかげで、真夏でも涼しい風が滝壺から吹いてきます。
なお、この “茶店”ですが、店内にはテーブル席が幾つかあって ジュースやソフトクリーム、お酒やビール、うどんや丼物などの食事が出来る様になっています。そしてその中の一席だけが大滝に面した窓辺にあり、そこに座った人は正面に滝を見ながら食事ができるのです。私にとって “滝 といえば 茶店” なので、私はその席が空いていたら店に入ってビールと関東炊きでもやりながら滝見物をしようと思っているのですが、今までそこが空いていたことがありません。皆さんに人気の席なのですね・・・残念です。ところで、この箕面の滝とスパーガーデンには楽しい思い出があります。少し長くなりますが お付き合い下さいね。
それはこのブログに何度か書いた 枚方の府立高校でむかし担任をしたクラスの卒業生たちが、数年前に「箕面温泉で一泊して大滝見物をしよう」という同窓会を企画して私も誘って戴いた時のことです。当日は温泉や夕食のあと 夜遅くまで楽しく話し込んだりして、翌日には大滝まで行きました。滝道の案内係は私です。休日のことで 滝壺の前は観光客が多く、ベンチで肩を寄せ合って弁当を食べている人たちもいました。我々一行が滝を見上げていた時のことです。「キャーッ」という悲鳴が聞こえたので振り返ると、猿が女の人の食べていたパンを奪って岩の上に逃げ上がったのです。
猿が出て来るのは最近では珍しいことです。以前は滝周辺に多くの猿が出没して観光客に被害を与えていたので、観光協会の管理員が山の中で “餌付け” する努力を続けた結果、猿の出没は無くなっていたのです。なので珍しく現れた猿に、観光客のカメラが一斉に向けられました。
すると何を思ったのか我々一行の中のT君が 奪ったパンを食べる猿の前まで行き、パンを取り上げようとしたのです。在学中やんちゃ坊主だったT君の “やんちゃ魂” が、ムクムクと再燃してきたのでしょうか。怒った猿はT君に向かって「シャー!」と唸り声を上げ 口を大きく開けて威嚇を始めました。すると女子たちが一斉に「T君、やめとき~!。ひっかかれるよ~!。噛まれるで~!」などと声をかけたので、彼は何もせずに戻ってきたのでした。ああ、良かった。
・・・そんな “彼ら、彼女たち” も 今年ついに “還暦” の年を迎えました。このブログの紙面をお借りして お祝いを申し上げます。三年七組のみんな、おめでとう!