雄さんの昭和ひとりごと て_5b-(その2)

(て‐5b) Tempo(その2)

 今回は「言葉による表示法」ですが、その前に前回出題の応用問題「演奏にかかる時間の算出」の解説をします。お付き合い下さいね。

計算式は、【 1分間(60秒) ÷ テンポ数字 】× 全拍数 = 演奏にかかる時間(秒) でした。

問題は「次の曲の演奏に要する時間は何秒ですか」でしたね。

・ 4分の3拍子・120小節・(四分音符)♩=120

※3拍子なので、全拍数は120小節に3をかけた数になります

(60÷120)× 360 = 180  答え 180秒

・ 4分の2拍子・8小節・(四分音符)♩= 40

※2拍子なので、全拍数は8小節に2をかけた数になります

(60÷ 40)× 16= 24  答え 24秒

※楽譜さえあれば、どんなに長い曲でも、また途中で拍子やテンポが変わる曲でも、この式が理解できれば大体の演奏時間が算出できます。参考にして下さいね。

では「言葉による表示法」に入ります。形容詞・副詞によって表す方法で、イタリア人が普段使っている言葉です。

基礎となる用語として、遅いものから速くなる順に書いてみます。

Lento、Largo、Adagio、Andante、Moderato、Allegro、Vivace、Presto、以上です。

次に、それらを強めたり弱めたりする付加語・接尾後を書いてみます。

piu(今までより多く)、meno(今までより少なく)、molto(きわめて)、assai(十分に)、poco・unpoco(少し)、non troppo・non tanto(はなはだしくなく)、sempre(常に)、ma(しかし)、quasi(~のように)、以上です。例えばAllegro ma non troppo(速く、しかし、はなはだしくなく)のように使います。

昔、大学の先生がイタリア旅行に行ってタクシーに乗った時、あまりにゆっくり走るので「Allegro!」と言ったら急に神風タクシーになったので「・・・ma non troppo」とお願いしたら、ニヤッと笑ってスピードを緩めてくれたそうです。言葉として使えるのですね。

ところで、ここで注意したいのは「 piu と meno 」の関係です。piuを(より速く)、menoを(より遅く)と思っている人がいますが、lento(遅く)に付いた場合 piu lentoは(今までより遅く)、meno lentoは(今までより速く)になります。気を付けましょうね。以上です。