(ふ‐4)富 士
「♪~ふじは にっぽんいちのやま」である。しかし、一時期そうではなかった。戦前、日本が台湾を統治していた時代は台湾最高峰の「新高山(にいたかやま)」が日本一とされていた。なお「新高山」は、本来の名前の「玉山(ユイシャン)」に日本が勝手につけた名前である。そして日本敗戦。富士は再び「日本一」に戻った。皮肉な話である。ところで最近、その富士山に鉄道を通す話が沸き起こっている。観光道路の「富士スバルライン」を廃止し、その道路上にライト・レール・トランジット(LRT)という次世代型の路面電車を走らせる、という構想である。2013年に富士山が、信仰の対象と芸術の源泉として「世界文化遺産」に指定されてから、その環境保全が責務となっている。その中で最も急がれるものが「排気ガス問題」である。毎年夏には車が渋滞して、麓から五合目までのスバルラインは4~5時間かかるという。排気ガスも相当なものらしい。そこで上記の案が浮かんだわけだ。この計画は鉄道会社の富士急行と経団連や国会議員などが中心となって進められているが、一刻も早く実現して欲しいものだ。完成したら乗りに行こうと思っている。しかし私はもっと前からこの計画を提案していた人を知っている。紀行作家の故・宮脇俊三氏である。氏は1993年の「夢の山岳鉄道」という本に、上高地や比叡山など日本の12ヶ所の山に鉄道を敷設する構想を書いているが、その中にしっかり「夢の富士山鉄道」がある。しかもルートや駅の場所・必要施設など、今回の構想とほとんど同じである。逆に言えば、今回の構想は「宮脇案」を真似したのではないかと思いたくなる。もっとも、「宮脇案」は路面電車でなく普通の電車を走らせる。東京の新宿から富士五合目まで、直接乗り入れるためである。私は「LRT」より「宮脇案」のほうが旅行者の便利などを考えると、いろいろな面で現実的だと思うのだが・・・。 さて次回は(へ‐4)である。さあ何を書こうかな。