雄さんの昭和ひとりごと (い-7)

(い‐7)「Ich liebe dich (イッヒ リーベ ディッヒ)」

 作詩・カール フリードリヒ ヘルロゼー、作曲・ルードヴィヒ ヴァン ベートーヴェン。1795年に作られた歌曲で、英語の“I love you”のことです。あのベートーヴェンが25歳の時にヘルロゼーの「Za・・rtliche Liebe(優しき愛)」という詩に曲をつけた“ラブソング”です。1803年に発表されましたが、ベートーヴェンはこの曲にタイトルを付けなかったので、歌詞の冒頭の部分が曲名になっています。

ベートーヴェンといえば生涯独身で、晩年には耳が全く聴こえなくなったにもかかわらず“傑作の森”と呼ばれる素晴らしい作品群を発表し続け、のちに「楽聖」と呼ばれた大作曲家です。肖像画のその武骨な風貌は、彼の人生そのものを表しているようです。しかし若い時の肖像画を見るとなかなかの“イケメン”で、この頃の彼は女性たちに大いにモテたそうです。その中の“本命”のひとに、この曲は捧げられたのでしょうね。でも、その愛は完結しなかったようですが・・・。

では、高校の音楽教科書に載っているこの曲の日本語歌詞を紹介します。ドイツ語の原曲にかなり忠実な訳詞になっています。曲名は「愛」です。

 

互いに忘れず 夕べに朝(あした)に 心の憂いをいつも分け合い 

悲しみは二人でいたわりながら つらさを慰め悲しみに泣く 悲しみに

神の恵みあれ この世の喜び 守れよ支えよ 守れ二人を

この世の嵐に耐えよ命を 耐えよ命を 耐えてあれ

なお、YouTubeの動画ではドイツ語唱・日本語唱ともに紹介されています。いちど聴いてみて下さいね。ドイツのボンから 独りオーストリアの大都会ウィーンへ出て来た、若かりし頃のベートーヴェンの“誰かと共に歩みたい”という気持ちが解るかも知れません。