雄さんの昭和ひとりごと (しー6)

(し‐6) 「ショーライス」と「ソーライス」

 「小ライス」ではありません。皿に盛られた御飯に醤油をかけたものが「ショーライス」、ソースをかけたものが「ソーライス」です。どちらも阪急百貨店の大食堂で実際に提供されていました。と言っても出されていたのはライスだけで醬油やソースは卓上のものを客が自分でかけていたのです。

時代は1930年の昭和恐慌の真っ只中。職探しで歩き回ってお腹を空かせた人たちが百貨店の食堂に来て、お金が無いので安いライスだけを注文しました。そして自分で醤油をかけたりソースをかけたりして食べていたのです。なかでもソースをかけたものが洋風の味がして「人気(?)」があったそうで、特にこれを「ソーライ」と愛称で呼んで大勢の人が食べていたそうです。

しかし食堂側はこの状況を良しとせず、御飯だけの注文を断る旨の貼紙を出して禁止しました。ところが社長の小林一三がこれを見て食堂の幹部を叱り、逆に「御飯だけの注文を歓迎します」と貼紙をして、実際に小林本人が客席で漬物をサービスして回ったそうです。それ以後、阪急のライスには福神漬けが付くようになりました。

「今はこんな時勢だが、やがて景気が良くなって皆が豊かになればきっと家族を連れて食べに来て下さるだろう」が小林の考えです。実際その後、功成り名遂げた立派な紳士が家族や職場の部下を連れて食べに来て皆に食事を振舞い、自分はこっそりライスにソースをかけて食べている人が結構いたそうです。う~ん、私も阪急百貨店大食堂の「ソーライ」、食べてみたかったです。