雄さんの昭和ひとりごと (つ-7)

(つ‐7) C 管 “ツェー かん”

久しぶりに楽典のお勉強で「移調楽器」の話です。ドイツ音名の「C(ツェー)」は「ド」のことで “C管” とは、記譜音の「ド」を吹くと実音でも「ド」の音が鳴る管楽器のことです。なので「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド」と吹くと「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド」と鳴ります。当たり前ですね。

 ところが記譜音の「ド」を吹いても、実音では長二度低い「♭シ」が鳴る楽器もあります。「ドレミファソラシド」と吹くと実際には「♭シ・ド・レ・♭ミ・ファ・ソ・ラ・♭シ」と鳴るのです。こういう管楽器を “B管(ベー管)” といいます。ドイツ音名の「B(ベー)」は「♭シ」だからです。クラリネット や トランペット、ホルンなどに多い楽器です。

 また、「ド」を吹いて短三度高い「♭ミ」の鳴る楽器もあります。「ドレミファソラシド」と吹くと「♭ミ・ファ・ソ・♭ラ・♭シ・ド・レ・♭ミ」と鳴っているのです。これを “Es管(エス管)” といいます。「♭ミ」はドイツ音名で「Es(エス)」だからです。アルトサックスや高音用のクラリネットなどに多い楽器です。

 他に「ドレミファソラシド」と吹いて 完全四度高い「ファ・ソ・ラ・♭シ・ド・レ・ミ・ファ」と鳴る楽器を「F管(エフ管)」といい、高音用のホルンなどが該当します。なお、冒頭の “C管” には、オーボエやフルート、ピッコロなどが該当します。

 ではここで問題です。C管のフルートの人がハ長調の「ドレミファソラシド」の音階を吹く場合、B管のクラリネットの人が一緒にユニゾンで同じ音階を鳴らすためには、実際にはどのような音階を吹けばよいのでしょうか?。

 正解はニ長調の音階「レ・ミ・#ファ・ソ・ラ・シ・#ド・レ」を吹く、です。なぜそう吹くのかは、自分で考えてみましょう。ヒントは「クラリネットの “実音” は “記譜音” より “長2度” 低い音が出るので、その逆の行為をする必要があるから」です。なお このような行為(移調)を行う必要があることが、管楽器を「移調楽器」と呼ぶ所以ゆえんとなっています。

 ・・・このように オーケストラや吹奏楽のスコア(指揮者用の総譜)を見ると楽器ごとに調号が異なるので「今どの楽器どうしがユニゾンで同じメロディーを吹いているのか」とか「今どの楽器どうしがハモリ合っているのか」などが判りにくいので、指揮者はもとより演奏者も合奏前にしっかりと勉強しておく必要があります。そうしないと胃腸を壊してしまいますよ。