雄さんの昭和ひとりごと (ひ-8)

(ひ‐8) 冷 や

 「ひや」です。湯豆腐と燗酒の季節が過ぎて 冷奴と冷たいお酒の時候になりました。もっとも、“冷たいお酒” といっても “冷や酒” と “冷酒” には違いがあります。冷や酒は室内にある “常温” の酒、冷酒は冷蔵庫などで “冷やした酒” のことです。冷蔵庫の無かった時代のお酒は、温めるか常温のままで飲むかのどちらかでした。それで、温めた “燗酒” に対して 常温の酒は冷たいので “冷や” と呼んだのです。しかし最近になって冷酒のことを冷やと呼ぶ人が増えて、居酒屋などで齟齬そごが生じているそうです。はっきりと「冷酒を下さい」または「常温でお願いします」と伝えましょう。なお、日本酒の “温度別の呼び方と味わい” に関して 沢の鶴酒造さんが出している興味深いデータがあるのでお示しします。

 冷酒の場合

 雪冷ゆきびえ ・・・  5℃くらいの「雪のような冷たさで香りが抑えられ、シャープな味わいのする温度」

 花冷はなびえ ・・・ 10℃くらいの「花さえ冷たくなる温度で香りが弱まり、きめ細やかな味わいを感じる温度」

すずえ ・・・ 15℃ くらいの「涼やかな冷たさで、華やかな香りの立ち上がりを感じる温度」

 燗酒の場合

 日向ひなた燗 ・・・ 30℃くらいの「日向のよういポカポカとして、酸味や旨味の輪郭がハッキリする温度」

 人肌ひとはだ燗 ・・・ 35℃くらいの「やわらかくて優しい、米や麹の良い香りが味わえる温度」

 ぬる燗 ・・・ 40℃くらいの「飲むとやや熱く感じ、お酒の美味しさを存分に味わえる純米酒向きの温度」

 じょう 燗 ・・・ 45℃くらいの「飲むと熱く感じる、味わいのバランスと後味のキレの両方が楽しめる温度」

 あつ  燗 ・・・ 50℃くらいの「寒い日に体を温めるのに最適な温度」

 びきり燗 ・・・ 55℃以上の「とびきり熱くて香りや味わいに刺激を感じるが、辛口の酒はさっぱりと飲める温度」

 以上ですが、上記「涼冷え」と「日向燗」の間の「手を加えない温度」の酒を一般に “冷や(常温)酒” と呼ぶのでしょうね。沢の鶴酒造さん、この温度帯の「風雅な」呼び方はありませんか?。