(む‐8) むやみにクマを殺さないで・・・
昨年以来 “クマ出没” のニュースが後を絶ちません。本来、山中に居るはずのクマが里に出て来て 民家の庭先に植えてある柿を食べたり 店舗や倉庫などの建物に入り込んで逃げ惑うクマの映像などが、毎日「これでもか これでもか」と流されています。まるで「怪物」を扱うように・・・。
実際、クマに襲われて大けがをしたり 死に至ったりした方もいます。いつクマと遭遇するかも知れない状況の人達にとっては、生活や ひいては命に係わる大きな問題になっています。そこで政府は法改正をして「緊急銃猟」という制度を新設し、街中でもクマを退治できるようにしました。
先日のニュースで驚いたのは、母と子グマが民家の畑で何かを食べながら寛いでいる様子が映されて、「このあと2頭は緊急銃猟によって “駆除” されました」というナレーションが流れたことです。私は驚くとともに、悲しくなりました。せめて麻酔銃を使って欲しかった・・・。そもそもクマが山から下りて来たのは、主食にしているドングリなどの木の実が不作で、お腹を空かして食べる物を探しているうちに 里へ出て来てしまったのです。
もともと、本州にいる「月の輪グマ」は大人しくて “人を恐れるクマ” なのです。山奥の修験道を行く山伏の人たちが法螺貝を吹き鳴らしながら歩くのは “クマ除け” のためとも言われています。クマが人を避けてくれるのです。
私は、山を整備して クマが住める環境に戻してあげるべきと思っています。そして、出て来てしまったクマは “駆除” ではなく、眠らせて山へ返してやるなど “優しい対応” をしてやって欲しいと思っています。これは、実際にクマ被害に脅える人たちにとっては “甘い” 考えかも知れませんが・・・。
宮沢賢治に「なめとこ山の熊」という物語があります。悲しいお話です。100年前に「セロ弾きのゴーシュ」で 子ネズミの病気をゴーシュが演奏で治したことで 今日の “音楽療法” を予見していた賢治は、この「なめとこ山の熊」で 昨今の人々のクマに対する考え方を諫めたのかも知れません。皆さん、“熊撃ちの小十郎” の気持ちになって 読んでみて下さいね。