雄さんの昭和ひとりごと (り-7)

(り‐7) リムスキー・コルサコフ「シェヘラザード」

 前回(ら‐7)「羅針盤」で “大航海時代” について書き、文末で 吹奏楽の名曲 R.W.スミスの「海の男たちの歌」を紹介させて頂きました。実は執筆中、私の頭の中で鳴り響いている曲がもうひとつありました。それが「シェヘラザード」だったのです。

 “シェヘラザード” とは、狂った王に殺されないために物語を毎夜毎夜語り続けた女性の名前で、語ったその話は “船乗りシンドバッドの冒険” や “アリババと40人の盗賊”  “アラジンの魔法のランプ” など 波乱万丈に富む話ばかりで「千夜一夜物語(アラビアンナイト)」としてまとめられています。しかし実際は、シェヘラザードの存在も含めてすべて “枠形式” に則った空想上のお話しらしいです。

 ロシアの作曲家「リムスキー・コルサコフ(1844~1908)」は、この物語の中の 海にまつわる話を中心に交響組曲「シェヘラザード」を書きました。それは海軍兵学校を卒業して長く海軍士官も勤めた彼が、実際に世界の七つの海を知り尽くしていたからではないでしょうか。七つの冒険を繰り広げる船乗りシンドバッドと自分自身が重なる部分があって、海のリアルな表現ができたのではないかと私は思っているのです。