(ろ‐6) 露天商
“ろてんしょう”と読みます。自前の店舗を持たずに、神社や寺の境内で縁日に物を売る商人のことです。「露天」とは、屋根がないという意味なのですね。
大阪の梅田に「露天神社」という神社があります。これを私は“ろてん じんじゃ”と読んでいました。戦後、境内に闇市が立ち並び 所狭しと露天商が店を出していたことを知っていたからです。しかし、あることで本当の読み方は“つゆ てんじんしゃ”だと判りました。
むかし、高校の係教員の忘年会を梅田のおでん屋さんでやった時に店主の方が この店は戦後すぐ「お初天神」の境内の闇市から始まったと言ったのです。そして「“つゆ てんじん”が正式な名前やけどな」とも教えてくれたのです。「お初天神」は近松門左衛門の「曾根崎心中」の舞台となった神社で、遊女のお初と手代の徳兵衛が心中した場所だということは知っていたので、私の中で“ろてん じんじゃ”と“お初天神”が その時つながったのでした。
もう一つ、私が勘違いしていた事がありました。それは、その「お初天神」と落語の「初天神」とを混同していたことです。「初天神」は、天満の天神さん(大阪天満宮)に父親と息子が初詣でに出かける話です。お正月らしく太鼓や三味線の“鳴り物”が入り、賑やかな街の風景が目に浮かびます。露天の団子屋で父親が ペロペロ舐めたみたらし団子をもう一度タレの壺に突っ込むなど抱腹絶倒の内容で、聴いていると お腹の皮が捩れますよ。一度、聴いて見て下さいね。
では“初詣で”の話が出たところで改めて“明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします”。