雄さんの昭和ひとりごと -な_3-

(な-3)「夏よおまえは」 ベッツイ&クリス

 作詞・麻生ひろし、作曲・井上かつお、1970年の曲である。「ベッツイ&クリス」は、アメリカ・ハワイ州出身のベッツイとアイダホ州出身のクリスとで結成された女性フォークデュオである。1969年に発表された「白い色は恋人の色」(詞・北山修、曲・加藤和彦)は80万枚を売り上げる大ヒットとなったが、翌年の6月に発表されたこの曲はあまり注目されなかったようだ。今回(な-3)の回を書くにあたって歌集の「な」の項目を見たら「夏」の付いた曲が沢山並んでいる。そしてそのどれもが、夏の太陽や青い海、白い波や船などを歌い上げたものばかりだ。その中で唯一、この曲だけが暗いトーンで終始しており(コードはAm・Dm・E7が中心)異色の「夏歌」といえる。しかしじっくり聴くと、いつまでも耳に残る味わい深い曲ではある。一度、聴いてみて下さいね。ところで、女性フォークデュオといえば「シモンズ」も有名である。関西出身の田中ユミさんと玉井タエさんの二人は高校在学中に毎日放送の「歌え!MBSヤングタウン(ヤンタン)」のオーディションに合格し、番組出演を果たした。そしてスカウトされて、高校卒業後に上京してあの「恋人もいないのに」(詞・落合武司、曲・西岡たかし)で1971年にメジャーデビューを遂げて紅白にも出たが、そのきっかけになった「ヤンタン」で歌った曲はベッツイ&クリスの歌であったという。・・・実は私たちのバンドも同じ時期に「ヤンタン」に出演したが、特に誰からもスカウトされることもなく、今日に至っている。