雄さんの昭和ひとりごと -し-

(し)深夜ラジオ。高校入試の時、ラジオの深夜放送を聴きながら受験勉強をしていた。ある夜のこと、朝日放送の「ヤングリクエスト」略して「ヤンリク」を聴いていたら、SLの走行音をバックに女性が「ルールールルルー」と歌うだけの、これまで聞いたことのない曲が流れてきた。そして、それに合わせて男性の声で「人差し指をしゃぶって、目をつむって、そっと立ててみる。ほら、かすかな風が吹いてくる方向。今夜僕たちは、その方向からやって来ました」というナレーションが入った「夜のバラード(真夜中のポエム)」というコーナーが新しく始まったのだ。以来、そのコーナーは毎回素敵な詩を朗読して、勉強に疲れた私の心を慰めてくれたのだ。その「歌詞のない歌」はリスナーの話題となり、やがて歌詞が付けられて由紀さおりの「夜明けのスキャット」として大ヒットしていくのだった。