雄さんの昭和ひとりごと -へ-

(へ)平安神宮に隣接して私の大学はあった。男子トイレの窓からは日本庭園を歩く観光客の姿が見えた。大学に学食がなかったので、昼は外に食べに出た。らんたんのラーメン、春陽堂のカツカレーピラフ、ルレ岡崎のナポリタン、はとや食堂のうどん定食、サバトのオムライス、トントンのトンカツ定食、末広の玉子丼、グッドマンハギタのモーニング、民(たみ)の串カツランチ、陽楽のカニ玉丼、銀座屋の日替りランチ、キッチン喜多の洋風弁当、凡平のハムサラ定食…書き上げるときりがない。この内、息子さんが後を継いだ「らんたん」と今も頑張る「はとや食堂」、そして近年に復活を遂げた「春陽堂」以外、今はない。「ルレ岡崎」に至っては跡地が細見美術館になっている。それぞれ懐かしいが、もう食べられない味である。