雄さんの昭和ひとりごと -み-

(み)ミュージカル映画

 以前「チキチキバンバン」や「オズの魔法使い」について述べましたが、もうひとつ紹介したいファンタジーミュージカルが「メリー・ポピンズ(1964年アメリカ映画)」です。厳格な父親の家庭に子供たちの乳母がやってくるという、なにやら「サウンド・オブ・ミュージック」(未紹介です)を思わせる話で、主演女優も同じジュリーアンドリュースです。ストーリーは、毎日の生活規律を守ることが何よりも大切な銀行家の父親と、女性参政運動のために自分の家庭を顧みない母親と、それでも素直に育っている幼い姉と弟のもとに、乳母としてやってきた魔法を使う不思議な女性メリー・ポピンズが主人公です。そしてメリーの知り合いで、公園で大道芸をやったり自分で描いた絵を売ったりと芸達者な煙突掃除屋のバートという謎の男も。俳優は「チキチキバンバン」で素敵なバンブーダンスを披露してくれたディック・ヴァン・ダイクで、ここでも「屋根上のダンス」が素晴らしい。また特撮や、実写とアニメの合成シーンがすごく自然で、とても今から60年前の作品とは思えません。歌も、有名な「チムチムチェリー」や「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」は、今でもいろんなオーケストラのポップスコンサートなどで演奏されます。そんななかで、私の好きな曲は「2ペンスを鳩に」です。これはセントポール大聖堂前の階段で老女が鳩の餌を売るシーンで流れる曲ですが、見ながら聴いているとなぜか涙が出てきます。この物語は私たちに「本当に大切なものは何か」を教えてくれるのです。