雄さんの昭和ひとりごと -よ-

(よ)夜なのに挨拶が「おはようございます」

 舞台関係者に伝わる業界用語です。電気のなかった昔、能・狂言や歌舞伎などを明るい午前中から上演していたことのなごりで、今でも使う人がたくさんいます。また「板付き」「上手(かみて)」「下手(しもて)」「はける」などは本番で絶対にミスが起きないように必要な用語として普通に使われています。「板付き」はステージ上での待機、「上手」は客席から舞台を見て右側、「下手」は左側、「はける」はステージから舞台そでに入ることです。例えば舞台進行表に「オケ板付き、指揮者下入り、演奏後指揮者下はけ、オケ上下はけ」と書いてあれば「開演前、オーケストラは舞台上でスタンバイ、指揮者は下手からステージに入り、演奏後は下手から舞台そでに入る。その後オーケストラは両側からそでに入る」という意味になります。他にも「ばみる」「ドン前」「尺高(しゃくだか)」など数多くの用語があります。これらはすべて演奏者側とホール担当者側との間でミスの起きないようにするための知恵なのでしょう。また稿を改めて書いてみたいと思います。