雄さんの昭和ひとりごと む_4-

(む‐4)無 私

 「むし」と読みます。私利・私欲、我利・我欲などの「自分のために」という思いのない状態のことで、何事も「無私の境地で判断することで、物事をより正確・確実に認識できるようになる」と言われます。あの、昨年8月に亡くなられた稲盛和夫氏も常々「経営者は無私の心で働かねばならない」と仰っていました。企業の経営者たる者、まず全体の奉仕者でなければならない、ということなのでしょう。・・・でも「無私の心」って、なかなか難しいですね。ついつい「自分の得」になることを考えてしまいます。日本の「禅」は、この「無私の境地」を会得する修行の一つと言われます。「新人研修」などで座禅を取り入れている企業は、社員に自社の利益もさることながら社会全体に奉仕する精神も育成しているのかも知れません。つまり、「自分の得」より「自分の徳」を高めることが大切なのでしょう。夏目漱石の「吾輩は猫である」の最後で、井戸に落ちた猫が壁を登ろうと必死に爪でガリガリやるが、やがて力尽きて「我利我利はもうやめた」と言って沈んで行く場面がとても印象的でした。 さて次回は(め‐4)です。さあ何を書こうかな。