雄さんの昭和ひとりごと (やー5)

(や‐5) 山のぼり

 「山のぼり」と言っても、登山の話ではありません。「駅伝」の話です。駅伝とは、マラソンが一人で42、195kmを走り切るのに対して何人かで「タスキ」を受け渡しながら走る競技です。有名で人気がある駅伝の一つに、毎年お正月の2日と3日の二日に分けて行われる関東学生陸上競技連盟主催・読売新聞社共催の今年で第100回を迎える東京箱根間往復大学駅伝競走、いわゆる「箱根駅伝」があります。東京・大手前の読売本社前を出発して箱根の蘆ノ湖までの約100kmを21チームが往復します。ただ参加資格は関東の大学だけで、いわば「関東ローカル」のスポーツ大会です。にも関らず全国的に人気があります。これは開催時期がお正月三が日であることと、読売系列のテレビ局が全国ネットで生放送するためです(・・・皆さんも見ますよね)。人気の理由は他にもあって、走るコースや競技ルールの複雑さのおかげでこれまで数々のドラマを生んできたからと言われています。コースは、江の島を望めて江ノ電が走る風光明媚な湘南海岸を走り「箱根八里」と歌われた箱根路を走ります。その中で一番の難所は往路の第5区で、「山のぼり」と言われています。900m近い標高差を一人で1時間以上かけて走るのです。そのため順位の入れ替わりが激しく、ここを制した選手は「山の神」と言われて英雄視されました。次にルール的には、公道占有時間を短縮するための「繰り上げスタート」や「復路一斉スタート」が皮肉にもドラマを生んでいます。タスキを渡すべき相手が自分の時間超過のために先に出発させられていて、タスキを渡せず泣き崩れた「無念の繰り上げスタート」や、往路で時間のかかり過ぎたチームが復路スタートをまとめて出発させられる「屈辱の一斉スタート」など見どころが沢山あります。また「推理する楽しさ」もあります。復路一斉スタートのせいで並んで走っている選手でも実は順位がバラバラで、前を走る選手のほうが後ろを走る選手よりも順位は遅い、という現象が起きます。・・・箱根駅伝恐るべし、ですね。

 なお、関西に住む私としては関西独自の大学駅伝を開催して欲しいと思っています。京都もしくは大阪を出発して国道を西へ走り、神戸から六甲山に上り縦走して同じ道を帰って来る、というコースです。参加できるのはもちろん関西の大学ですが、いかがでしょうか。

 ところで新年早々に北陸で大地震が起きました。亡くなられた方々にお悔やみを申し上げるとともに、けがをされた方々、被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。