雄さんの昭和ひとりごと -は_3-

(は-3)「バラが咲いた」と「花と小父さん」

 どちらも故・浜口庫之助氏による曲である。浜口氏は「日本のシンガーソングライターの草分け」と言われる人で、「バラが咲いた」はマイク眞木さんに楽曲提供した1966年の曲である。なお、この歌は「日本のフォークソングの原点」とも言われている。内容は「庭に真っ赤なバラが咲き、やがて散ってしまったが僕の心にはいつまでも咲いている」という、素朴で温かい話である。一方「花と小父さん」は伊東きよ子さんが歌った1967年の曲で「小父さんが道に咲く小さな花を摘んで帰って一生懸命に世話をして、やがてある朝、花が散っていくのを最後まで見守る」というお話で、花と小父さんが会話するとてもメルヘンチックな歌になっている。つまり二曲とも花が咲いて散っていく話であるが、私は子供の頃から感情移入できる「花と小父さん」の方が好きだった。しかも勝手に花に色を着けて「黄色いタンポポ」のつもりで聴いていた。なので、タンポポの花びらを一枚づつ千切っていく「花占い」などとんでもないことであると今も思っている。