雄さんの昭和ひとりごと -は_3b-

(は-3b)「花の首飾り」と「廃墟の鳩」

 どちらも ザ・タイガース の歌です。「花の首飾り」は 作詞・菅原房子(高校生) 作曲・すぎやまこういち。「廃墟の鳩」は 作詞・山上路夫 作曲・村井邦彦で、共に1968年の曲です。あの時代、GS(グループサウンズ)は今で言う「アイドル」だったので、どのバンドも女性ファンの心を掴む曲やパフォーマンスを競っていました。この「花の首飾り」はまさにその路線どおりの曲で、女性雑誌で公募された歌詞のためか、とても乙女チックな歌になっています。歌詞の一部を紹介すると「花咲く娘たちは、花咲く野辺で、雛菊の花の首飾り、優しく編んでいた。おお愛の印、花の首飾り。私の首に掛けておくれよ、貴女の腕が絡みつくように」です。客席の女性たちは、さぞうっとりとしたことでしょう。それに対して「廃墟の鳩」はGSには珍しく「人類愛」や「復活」をテーマにした曲です。「人は誰も、悪いことを覚え過ぎたこの世界。築き上げたユートピアは壊れ去った、脆くも」の歌詞の後、一羽の鳩が残った人類に「生きることの喜び」を教えてくれるという内容で、まさに「ノアの箱船」です。また、ボーカルが沢田研二ではなくて加橋かつみなので、彼の独特の声がこの歌により一層の緊張感を与えています。不穏な事の多い今、松田聖子の「瑠璃色の地球」と同じくメディアなどで再び採り上げられても良い曲だと思います。ぜひ一度、聴いてみて下さいね。