昭和の時代、ピアノ教材として広く使われていた「ル・クーペ作曲 ピアノの練習ABC」
1952年日本では安川加壽子先生による監修で音楽之友社から出版されました。
バイエルが教則本として主流(ドイツ系)だった時代ですが、私が偶然最初に手にしたメトードローズ教則本。この本も戦前にフランスで音楽教育を受けられた加壽子先生の監修です。
その次のテキストとして「ピアノの練習ABC」に進んだら、どの曲もタイトルがない(ABC・・・・のみの表示)にもかかわらずそれぞれの曲の情景が思い浮かぶ素敵な作品集。私は勝手にタイトルを付けて弾いて、その魅力にハマり込み「ピアノが大好きになった切っ掛けの本」でもありました。
小4のK君に、「お母さんが使っていたテキストとかあれば、やってみようよ。」と言って持ってきてもらったのがこの本!
懐かしい曲に巡り合えた感動と、かつて日本のピアノ教育の原点を築き上げてくださった加壽子先生との思い出が一度に溢れて来て、ピアノを続けていたことに改めて感謝したくなるような貴重な時間でした。 安川加壽子記念資料室 (shiryou-yasukawa.com)
ご縁のあった加壽子先生。先生の大事なお孫さんをレッスンさせていただき、そのお孫さんと阪神淡路大震災を経験。二人で呆然としたのを覚えています。我が家の近くで下宿していた彼女は「一人で居られない」ということで震災後しばらく私の家で一緒に過ごしました。震災の翌年亡くなられた加壽子先生。形見分けでいただいたドビュッシー全集の楽譜は今でも大切に使っています。
(音楽教室:明石大久保・神戸三宮・神戸御影・姫路網干・箕面・東京白金)