雄さんの昭和ひとりごと (ま-6)

(ま‐6) 魔人ブウ

 新しい総理大臣が誕生してひと月がたちました。逆風吹き荒れる中、ご苦労様です。今度の総理は日本の国土と国民を守ることと、地方の活性化促進を信条にする人のようです。それを象徴するのが、6年前に地元出身地で行われたイベントを盛り上げるためにアニメキャラクターの「コスプレ」をして登場したことです。この行動はこれまでの日本の政治家が持っていたイメージを刷新したようで、ユニークな画像は国内のみならず世界各国に伝わりました。そのキャラクターとは 故・鳥山明氏原作の「ドラゴンボール」に登場する「魔人ブウ」です。出現するやいなや周囲を破壊し尽くす非常に凶暴な性格で、温和な新総理には似つかわしくないキャラクターですが、地元のためにと喜んで扮装したそうです。私は今回の総裁選でこのキャラクターの名前を初めて知ったのですが、実は“ブウ”には少なからず思い入れがあるのです。

私の大学の音楽学部では、学年に一人だけ“ブウ”の称号が与えられる女子学生が出ます(なぜ“ブウ”なのかは分かりません)。私の知るところでは、のちにマリンバ奏者になった真理子さんが「マリブウ」・フルーティストの水越さんが「ミズブウ」・ヴァイオリンの伊藤さんが「イトブウ」と、それぞれ呼ばれていました。そして特筆すべきことは、我が秀子先生が当該学年の“ブウ”に選ばれたことです。入学後しばらくして、上級生の男子学生から「お前は秀子だから、今日からヒデブウだ!」と宣告されたのです。このニュースはすぐに学部中に知れ渡り、みんなから「ヒデブウ、ヒデブウ」と呼ばれることとなりました。学年が上がると、後輩たちからは“さん付け”で呼ばれていました。そして驚くことに、卒業してウン十年経つ今でも同窓の人たちから「ヒデブウ(さん)」と呼ばれているのです。

・・・ところで「魔人ブウ」の新総理と「ヒデブウ」の秀子先生。同い年なんですよ。面白い符合ですね。