雄さんの昭和ひとりごと の_5

(の‐5) 野ばら

 「野ばら」はドイツの文豪ゲーテが書いた詩です。ある女性を野に咲く薔薇に、そして自らを薔薇を摘む少年に例えて、実らなかった恋をうたっていると言われています。この詩に感動した音楽家が多数いて、それぞれに素晴らしいメロディを作曲しています。

中でも F.シューベルト と H.ヴェルナー の二人の作品が有名です。日本でもこの二曲は昔から音楽の教科書に掲載されているので授業で習った人が大勢います。皆さんも歌えますよね。ところで、ヨーロッパには「文化の地下水」という概念があります。千年の歴史の中に、民族・民俗・音楽・舞踏・民話・昔話・伝説・風習・思想・宗教などが表に出ることなく脈々と流れているのです。そして「ファウスト」等のゲーテの文学は、そこに根ざしていると言われています。この詩に共感して曲を作った音楽家は約40人いると言われていますが、その中には上記二人の他に ベートーヴェン・シューマン・ブラームスもいます。

またメンデルスゾーンによる合唱曲は、なぜか日本の関西学院に伝わり、グリークラブの「部歌」として歌い継がれているそうです。「野ばら」、素晴らしいですね。