雄さんの昭和ひとりごと ろ_3-

(ろ-3)ろくなもんじゃねえ

 作詞・作曲・歌・長渕 剛、1987年の曲です。歌の冒頭でいきなり「♪~ ぴい ぴい ぴいー」という意味不明の言葉が何度も繰り返されて度肝を抜かれます。しかしそのあとに続く歌詞の内容は、まるで孤独な若者を主人公にしたテレビドラマのようです。目をつむって聴くと情景がありありと浮かびます。一度聴いてみて下さいね。ところで、長渕剛さんについては皆さんよくご存じですね。シンガーソングライターとしてこれまでに作ってヒットした曲は数限りなく、また俳優としても出演したドラマが数多くあるという、音楽にドラマにと非常に多才な方です。その中で私の記憶にあるのは「うさぎの休日」というNHKが1988年に放送したドラマです。当時は、1986(昭和61)年から始まった「バブル経済」のせいで土地や住宅の価格が瞬く間に高騰し、普通に働く庶民にとって持ち家を持つことは夢物語になってしまいました。このドラマは、航空会社で整備士を務める主人公(長渕剛)と妻(伊藤蘭)と子供たちの四人家族が「ウサギ小屋」と呼ばれた狭いアパートから広いマイホームへ移り住むことを夢見た物語です。ドラマの中で、主人公の思い通りに行かない苛立ちともどかしさを長渕さんが好演していました。観ていて身につまされた方も多いのではないでしょうか。私は、おそらく彼にとってドラマの演技と曲作りとは「同じステージの上」にあるのではないかと思っています。