(け‐7) G 線
「ゲーせん」と読みます。弦楽器に張ってある弦のうち「ソ」の音がする弦のことです。例えばヴァイオリンでは低い方から順に「G(ゲー)・ソ」「D(デー)・レ」「A(アー)・ラ」「E(エー)・ミ」の音の弦が張ってあり、ヴィオラとチェロは「C(ツェー)・ド」「G・ソ」「D・レ」「A・ラ」の弦が、コントラバスは「E・ミ」「A・ラ」「D・レ」「G・ソ」の弦がそれぞれ張ってあります。演奏する人は弾く前に各弦がそれぞれの音になるように、必ず調弦します。オーケストラの場合はステージ上で一斉に、オーボエの吹く“A”の音を基にしてチューニングします。ご存知ですよね。
ところで皆さんは表題の “G線” と聞いて、何か思い浮かぶことはありませんか?。そうです「G線上のアリア」。あのバッハが作った有名なヴァイオリン曲ですが、今ではヴァイオリン独奏の他にも色々な楽器のために編曲されているので聴く機会も多いです。さすが、“音楽の父” と呼ばれるバッハですね。
ところが実は、この曲はヴァイオリン曲として作られたものではありません。バッハ作曲「管弦楽組曲 第三番 二長調の第二曲“アリア”」が本来の曲名で、元々は管弦楽(オーケストラ)のために作られた曲なのです。これをドイツのヴァイオリニスト「アウグスト・ウィルヘルミ(1845‐1908)」がピアノ伴奏つきのヴァイオリン独奏曲として編曲したものなのです。
ではなぜこの曲が “G線上のアリア” と呼ばれているのでしょうか?。それはウィルヘルミがメロディーを「ハ長調」に編曲したため、ヴァイオリンの最低音弦のG線のみで演奏できるようになったからなのです。ヴァイオリニスト達が演奏会のアンコールなどでこの曲を弾く時に下手(しもて・客席から見て左側)を向いて演奏するのは、客席からG線がよく見えるためにです。
ところで、作曲家で指揮者の故・山本直純氏は著書「オーケストラがやって来た“ボクの名曲案内”」で「今の世の中なら、アレンジャーのウィルヘルミは大声で著作権料を主張し、この曲を弾くときはプログラムに“ウィルヘルミ編曲”と付け加えなくてはなるまい」と書いています。う~ん ・・・ウィルヘルミさん、残念ですね。
なお、この曲の名前を 英語読みで「G線(ジーせん)上のアリア」という場合もあります。蛇足ですが。