雄さんの昭和ひとりごと -て_2-

(て‐2)ディヴェルティメント

 「ディヴェルティメント」は演奏様式の一つですがその定義は難しく、音楽史的・作曲法的および楽器編成上などにおいても様々な分類ができる様式名です。しかし一般的には「小編成の弦楽器で演奏される室内楽」とされ、同じ分類のセレナードが「小夜曲」と呼ばれるのに対して、ディヴェルティメントは「喜遊曲(嬉遊曲)」と呼ばれます。「楽しく、生き生きとした曲」という意味ですね。また作品としては、あの神童モーツァルトが16歳の時に書いた K、136・K、137・K、138 の3曲が有名です。なかでもK、136(二長調)は特に好まれており、コンサート等でしばしば演奏される他に、病院などいろいろな施設の環境音楽としても流されています。いわゆる「ヒーリングミュージック(癒しの音楽)」です。しかし音楽に携わる我々にしてみれば、モーツァルトを演奏するには音楽性の他に高度な技術が必要なので、病院の待合室などで聴かされると逆に緊張させられます。こんなことがありました。ある高校で弦楽部の顧問をしていたときのことです。いくつかの高校の弦楽部でこの曲の合同演奏をすることになりました。一楽章の後半に、2ndヴァイオリンに16分音符の連続する難しい部分があります。高校からヴァイオリンを始めた部員(ほとんど全員)にとっては「超絶技巧」と言っても良いフレーズです。みんな必死で練習しました。コンサートは大成功でした。本番で素晴らしい演奏をして控室に戻った部員たちは、全員で号泣しました。その生徒たちも今は大人ですが、どこかでこの曲を聴いたときには、あのときの「苦しさ」と「達成感」を思い出しているかも知れません。・・・余談ですが、今日のブログの回数(て‐2)は、逆さにしても(て‐2)になることを、いま発見しました。どうでも良いことですが・・・。