雄さんの昭和ひとりごと -と_3-

(と-3)「どうしてこんなに悲しいんだろう」と「悲しくてやりきれない」

 「どうしてこんなに悲しいんだろう」は社会派フォークの吉田拓郎が1972年に発表した曲である。・・・独りでいることの「自由」と「虚しさ」の間で戸惑い揺れ動く若い心。誰かに優しさや暖かさを求めたいが、それもできずに自らの心を閉ざしてしまう。ああ、この気持ちはどうしたらいいのだろう・・・。

「悲しくてやりきれない」は、作詞・サトウハチロー、作曲・加藤和彦、歌・ザフォーククルセダーズによる1968年の曲である。・・・輝く空を見ても、流れる雲を見ても、森を吹き渡る風の音を聞いても、すべて虚しく悲しい。このやるせないモヤモヤ、限りない虚しさ、燃えたぎる苦しさを誰かに伝えて救いを求めたい。しかし、それができずに明日も続くのか・・・。

この2曲を聴いて、今から約50年前に起きた悲しく虚しい出来事とは何だったのだろうかと考えた。1970年は大阪万博があり華やいだ年だったはずだ。しかしその一方で、ベトナム戦争の激化や70年安保闘争、72年のあさま山荘事件など、社会を不安に落とし入れる負の要因はいろいろあった。当時の若者はそれらを自分のことのように敏感に感じ取って、無力感や将来を見通せない不安に苛まれていたのかも知れない。