雄さんの昭和ひとりごと -く_2-

(く‐2)「グノーのアヴェ・マリア」

 シャルル・グノー(1818~1893)はフランスの作曲家で、全5幕の壮大なオペラ「ファウスト」をはじめ数多くの名曲を作りました。そんななかで、いちば
ん有名な曲は1859年に書かれた「アヴェ・マリア」ではないでしょうか。メロディーが浮かんできますよね。ところで、実は彼が作ったのはそのメロディーだけなの
です。伴奏は、バッハ作曲「平均律クラヴィーア曲集 第1巻」の「前奏曲 第1番とフーガ ハ長調」という、皆さんも知っている曲をそっくりそのまま流用しまし
た。また歌詞もカトリックの伝統的な聖母マリアへの祈祷文である「アヴェ・マリアの祈り」を、やはりそっくりそのまま流用しました。つまり、メロディーだけ自作と
いう曲が彼の「代表作」になったのですね。なお、この詩については数多くの作曲家がメロディーを作っていますが、いちばん有名なものはあのシューベルト
が1825年に書いた「アヴェ・マリア」ではないでしょうか。やはりメロディーが浮かんできますよね。彼は伴奏もちゃんと作りましたよ。さてあなたは、どちら
の「アヴェ・マリア」が好きですか?