雄さんの昭和ひとりごと (いー6)

(い‐6) 「異名同音(Enharmonik・独)」と「平均律」と「純正律」

 また楽典のお勉強です。いめいどうおん(エンハーモニック)と読んで「呼び方は違うのに鍵盤では同じ場所を弾く音」のことです。「♯ドと♭レ」や「♯レと♭ミ」「♯ミとファ」など沢山あります。

この「異名同音」で最も注意しなければならないのが音程の勉強の時です。例えば「♯ドの長3度上の音は何か?」という出題の場合、指を3本折って数えるとド・レ・ミの「ミ」で、間に全音が二つ分あるためにはミに♯を付ける必要があります。なので答えは「♯ミ」です。これをピアノの鍵盤などを使って確かめると「♯ミ」は実際には「ファ」と同じ場所なので解答欄に「ファ」と書いてしまいがちです。しかし「ファ」だと減4度なので不正解になるのです。

ところで「平均律(十二平均律)」と「純正律(純正調)」という言葉をご存じでしょうか。「平均律」は1オクターブ間にある12の半音を均等な音律に分けた調律方法のことで、ギターなどのフレット楽器やピアノなどの鍵盤楽器がこれに当たります。だから「♯ミ」と「ファ」は同じ音を弾くのです。それに対してヴァイオリンなどの弦楽器は「純正律」と言って、純粋なハーモニーを作る調弦方法を用います。「異名同音」の二つの音も本当は少し高さが異なるのですが、ヴァイオリンなど「純正律」の楽器ではその微妙な音の高さを表現できるのです。また、口の操作や代え指などで音の高さを微妙に調節できる管楽器なども同じです。上手な奏者が演奏する弦楽器の綺麗なメロディーや管楽器のアンサンブルなどが心地良く聴けるのはそのためです。このことについては、また項を改めて詳しく書いてみたいと思います。